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くらしの工芸展

photo by Takanori Yamamoto

くらしの工芸展

工芸の展覧会を楽しむには、時間への想像力が必要です。

もとより使うことを念頭に作られたものたちですから、見るだけではわかりません。自分ならどう使うか、それを思い描く想像力が求められるわけですが、じつは、それはまた、時間を思うことでもあるでしょう。

工芸品は、現在の姿が完成ではありません。まだまだ成長する伸びしろを秘めています。これから生活に寄り添い、使い込まれるうちに、手になじみ、色も穏やかになり、世界にひとつだけの存在へと育っていきます。そうやって未来を思い描いたら、こんどはぜひ過去にも思いをはせてください。これらの物たちは、こうして目の前に並べられるまでに、たくさんのテマヒマをかさねてきました。もともと多くの時間とともにあるのが工芸なのです。工芸の品を得ることは、時間を得ることにほかなりません。

気になった物があれば、ソッと手に取ってみてください。求められた時間は指先に、その感触の中にきっとひそんでいるハズ。それが始まりです。住まうことの学びなおしの。

鞍田 崇(哲学者)

くらしの工芸展

photo by Takanori Yamamoto

“くらしの工芸展”は1986年の第1回から震災での中断を経ておおよそ隔年で続けてまいりました。本会は兵庫民芸協会所属の工人を中心に開催し第15回目を迎えます。“くらし”とは何かと申しますならば、それは美しく健康で親切さを兼ね備えた器物を日常用い、傲らず、人を傷つけることなく清く当たり前の生き方をすることです。柳宗悦師の生活の美の眼実は正にそこにあり、私達“くらしの工芸展”に参画する者全員その事を心しております。作り人達の願いは一に真に美しいモノ(健康な美を持つモノ)を人々の生活の中にお渡しすることにあります。

*織りの藤田昌子さんが今年5月に永眠されました。最後まで意欲的に制作されていたそうです。今回は遺作展とさせて頂き故人を偲びたいと思います。

[会期]

2019年12月5日(木)から10日(火)まで

[開場時間]

10時から20時まで(最終日18時時まで)

*会期中、各作家は会場におります。

[会場]

さんちかホール(さんちか3番街ホーム&ライフ内)

兵庫県神戸市中央区三宮町1丁目7 (→Google Map

[アクセス]

JR「三ノ宮駅」西口・中央口、阪神電鉄「神戸三宮駅」西口、阪急電鉄「神戸三宮駅」東口、神戸市営地下鉄西神山手線「三宮駅」、神戸市営地下鉄海岸線「三宮・花時計前駅」、ポートライナー「三宮駅」より徒歩1、2分

[出展作家]

大杉康伸/小田桐真由美/加藤麻矢/児玉正和/小島 優/小島紗和子/郷美潮/阪上梨恵/坂西康俊/笹倉 徹/佐藤央巳・友美/辻本知之/中村紀子/西堀志伸/野間清仁/藤田昌子/藤原晶子/山口和声

[お問い合わせ]

くらしの工芸展実行委員(担当:山口和声)
メールアドレス:info@kurashinokougeiten.com

[SNS]

[主催]

くらしの工芸展実行委員会

[後援]

関連企画


トーク「暮らしの中の民芸」

[日時]

2019年12月8日(日)15時から

[出演]

鞍田 崇、笹倉 徹(木工/兵庫県民芸協会会長)、前野直史(陶工/兵庫県民芸協会副会長)、阪上梨恵(染織(緞通)/兵庫県民芸協会理事)

藤井佐知作品集発行記念
トーク「語り継ぐ仕事 藤井佐知」

[日時]

2019年12月8日(日)11時から

[出演]

笹倉 徹、仲野 文(兵庫県民芸協会員)、前野直史

大杉康伸

1

郷美潮

2

児玉正和

3

小島紗和子

4

野間清仁

5

中村紀子

6

佐藤央巳・友美

7

藤田昌子

8

笹倉徹

9

阪上梨恵

10

坂西康俊

11

藤原晶子

12

辻本知之

13

加藤麻矢

14

西堀志伸

15

小島優

16

小田桐真由美

17

山口和声

18

1. 「茶釉土鍋」大杉康伸 
2. 「ノッティングの椅子敷」郷 美潮 
3. 「ブロック・スツール」児玉正和 
4. 「螺鈿アクセサリー」小島紗和子 
5. 「美作めんつ」野間清仁 
6. 「どんぐり染め手織り着尺」中村紀子 
7. 「珈琲ドリッパー、ピッチャー、マグカップ」佐藤央巳・友美 
8. 「ホームスパンマフラー」藤田昌子 
9. 「栃摺漆食卓椅子」笹倉 徹 
10. 「赤穂緞通 花喰鳥椅子敷」阪上梨恵 
11. 「糠釉鎬片口」坂西康俊 
12. 「丹波布九寸名古屋帯地」藤原晶子 
13. 「ぐい呑み」辻本知之 
14. 「藍櫟染織飾布」加藤麻矢 
15. 「呉須筆目塗ミルク飲み、角皿」西堀志伸 
16. 「子供椅子」小島 優 
17. 「ウール絞り染コート」小田桐真由美 
18. 「灰釉押文六・五寸平皿」山口和声 
photo by Takanori Yamamoto

出品作家および出演者 略歴


大杉康伸(おおすぎ やすのぶ)

陶工/閑心窯(かんしんがま)

受注・展示会を中心に活動。1977年 兵庫県神戸市生まれ。岡山県備前陶芸センターを経て、1997年 備前焼・正宗悟氏に師事。1999年 伊賀土楽窯・福森雅武氏に師事。2006年 丹波市山南町に登り窯を築窯、閑心窯を開窯し、独立。2009年、2011年 茶の湯の造形展 入選。2017年 第14回よりくらしの工芸展に参加。

小田桐真由美(おだぎり まゆみ)

染色家/染色小田桐工房

染色した布での服制作。東京、大阪各地のギャラリー、デパートにて年6~7回季節の服展を開催。1949年 大阪生まれ東京育ち。女子美術大学にて工芸を専攻、柚木沙弥郎氏、四本貴資氏から教えを受け、卒業後個展、グループ展活動を続ける。1981年 染色小田桐工房として、手染めの服作りを始める。2017年 大阪箕面市の実家に工房と生活を移転

加藤麻矢(かとう まや)

半農半織家/兵庫県民芸協会理事

卓布、敷物などの制作、アンティーク敷物の修復1974年神奈川県生まれ。伝統工芸師に師事。倉敷本染手織研究所卒業、同卒業生に師事。日本民藝館展 入選。2017年第14回よりくらしの工芸展に参加。

児玉正和(こだま まさかず)

木工・乾漆/久付木乃工房(くつきのこうぼう)

主に素材感、素材の力を引き出すことを主体として創作・制作。1970年大阪生まれ。15歳から木工を志し、漆の魅力に興味を持ち現在に至る。日本民芸公募展 優秀賞他。2004年第6回くらしの工芸展に初参加、以後毎回参加。一脚展(竹中大工道具館)に第1回より参加。大阪南船場ギャラリー縄で個展を5回。奈良市アートサロン宮崎《選》展参加。2018篠山まちなみアートフェスティバル参加。

小島 優(こじま あつし)

椅子作家/兵庫県民芸協会理事

イギリスのカントリーチェア(ウィンザーチェアなど)のデザインを基本としたオリジナルチェアを制作。1973年 兵庫県生まれ。1991渡英。チェアメーカー・ビルハッドフィールド氏に師事。丹波篠山まちなみアートフェスティバルに参加。

小島紗和子(こじま さわこ)

木漆螺鈿 chogoro

1981年兵庫県生まれ。人間国宝の木漆工芸・黒田辰秋の下で修業した小島雄四郎から螺鈿の技術を習得。兵庫県丹波市に工房を構える。2008年から各地で個展、グループ展。2016年に国展初出品、入選。2017年入選

郷 美潮(ごう みしお)

染織

1988年生まれ。高知県生まれ埼玉県育ち。倉敷本染手織研究所卒業。その後沖縄にてノッティング、ウール製品を中心に制作するほか、小禄クンジーの再興にも携わる。2017年 那覇にて楽しい椅子敷展。

阪上梨恵(さかがみ りえ)

染織(緞通)/工房六月(こうぼうむつき)/兵庫県民芸協会理事

赤穂緞通の制作、及び昔の緞通の修復、再生を手がける。1983年神戸市出身。赤穂緞通生産者の会 根来節子氏に師事。赤穂緞通展(赤穂市文化会館 2018)いとおしい布を暮らしに(ギャラリー北野坂 2019)

坂西康俊 (さかにし やすとし)

陶工/やすとし窯

食器を中心に作陶1965年 兵庫県出身。丹波立杭焼清水俊彦氏に師事。尼崎の自宅裏に工房を作り「やすとし窯」として独立。師匠譲りの鎬技法を得意とし「毎日心地良く使える器」として食器を中心に作陶する。2019年 大阪ひふみ民藝店にて、西堀 志伸氏との二人展開催。

笹倉 徹(ささくら とおる)

木工(家具・工芸)/兵庫県民芸協会会長

重厚でぬくもりを感じる木工品を制作1947年兵庫県出身。1973年 長野県の松本民芸家具にて修業後、故郷の多可町にて独立。小島雄四郎氏と出会い漆を習う。俳人永田耕衣氏の書画展の額や瀬戸内寂聴氏の文机を制作。長年の愛好者が多く、重厚でぬくもりを感じる木工品を作り出す。2016年 第10回個展 in 聴竹居。

佐藤央巳・友美(さとう ひろみ・ともみ)

陶工/中ノ畑窯

沖縄で培った技術をもとに高槻市にて、薪窯を使って生き生きとした食器を生み出している。
(央巳)1973年北海道稚内市出身。北窯 松田米司工房勤務。
(友美)1974年大阪府高槻市出身。陶真窯、北窯宮城工房勤務。

辻本知之(つじもと ともゆき)

木地師/工房くくのち

轆轤を使った挽物による器制作や木地の受注生産。1978年 兵庫県西宮市出身。関西芸術短期大学、宝塚造形芸術大学で学んだ後、2002年 小林秀晴氏に師事。2009年 独立。2011年 西宮市に工房くくのち設立。2008年 第58回西宮市展 入選。第46回兵庫工芸展 兵庫県芸術文化協会賞受賞。2009年第47回兵庫工芸展入選。

中村 紀子(なかむら のりこ)

草木染/織

群馬で蚕を育て、座繰りされた糸を、植物、虫などで染め、着尺を織る。ショール、帯揚げなどの白生地を糸と同じく天然の材料で染めている。1948年 兵庫県神戸市出身。中野芙美子氏に染織の基礎を学び、武藤たか子氏に草木染、紬織を学ぶ。2009年、2010年 日本民藝館展入選。中部国展入選。奈良「あーとさろん宮崎」にて 隔年 グループ展。1999年よりくらしの工芸展 参加。

西堀志伸(にしぼり しのぶ)

陶工/露古壽窯/兵庫県民芸協会理事

日用食器を中心とした陶器の製造、販売。1971年 京都府生まれ。1996年 同志社大学工学部卒業後、家業である露古壽窯にて、父・西堀寛厚に師事。日本工芸館主催 日本民芸公募展 近畿経済産業局長賞(2010年)、他優秀賞など。2004年 第6回くらしの工芸展 初参加、以後毎回参加。大阪日本民芸館 みんげい市 初回より参加。2019年 大阪ひふみ民藝店にて、坂西康俊氏との二人展開催。

野間清仁(のま きよひと)

木工(家具・小物類・工芸)/創作家具工房 木道(きどう)

1960年 兵庫県出身。1981年 姫路の別注家具の木工所に入社。1994年 岡山県東粟倉村(現:美作市後山)に移住、「創作家具工房 木道(きどう)」を設立。2017年 日本民藝館展初出品入選。2018年 日本伝統工芸展初出品入選。

藤田昌子(ふじた まさこ)

染織(ホームスパン)

女子美術大学工芸科卒業。在学中に、柳悦孝氏、四本貴資氏、柚木沙弥郎氏から教えを受ける。1980年から、個展やグループ展。くらしの工芸展に初回より参加。2019年永眠。

藤原晶子(ふじわら あきこ)

丹波布染織 わたばな工房

加古川にて丹波布の製織と伝承。1941年 兵庫県揖保郡太子町にて出生。1998年 丹波布伝承館の講習会へ参加。 故足立康子氏に出会い、後に師事。2011年 加古川市民ギャラリーで初個展。2012年 「丹波布に魅せられたひと」を吉田ふみゑ氏により上梓。本の出版を記念して青垣と加古川松風ギャラリーで記念展。2014年 日本工芸館展 優秀賞 他。2015年 16年、18年、 日本民藝館展に出展、入賞。くらしの工芸展、みんげい市などに参加。

山口和声(やまぐち かずな)

陶工/Yamaguchi Pottery やまぽた

三重県伊勢市にて民藝に影響をうけ日用雑器を中心に作陶。1983年 三重県出身。2006年 名古屋芸術大学洋画科卒業。2010年 愛知県立窯業高等技術専門校にてやきものの基礎を学ぶ。2010年 鳥取県岩井窯にて山本教行氏に師事。2013年 伊勢市にて独立。2016年から国展入選、2018年に新人賞。2019年日本陶芸展入選。各地ギャラリーや百貨店等で個展やグループ展を開催。

鞍田 崇(くらた たかし)

哲学者

京都大学文学部哲学科卒業、同大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学・環境人文学。総合地球環境学研究所(地球研)を経て、2014年より明治大学理工学部准教授。1970年兵庫県生まれ。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイン・農業・民俗など様々なジャンルを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。著作に『BETWEEN THE LIGHT AND DARKNESS 光と闇のはざまに』(共著、Book B、2017年)、『フードスケープ 私たちは食べものでできている』(共著、アノニマ・スタジオ、2016年)、『知らない町の、家族に還る。』(共著、兵庫県丹波県民局、2016年)『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会、2015年)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。

前野直史(まえの なおふみ)

陶工/生畑皿山窯/Studio Tabula Rasa/兵庫県民芸協会副会長

スリップウェアなどの化粧陶器を中心に薪窯で焼成。個展、グループ展などで作品を発表。1965年 京都市出身。大谷大学文学部哲学科を卒業。1991年 丹波立杭焼の清水俊彦氏に師事。1996年 京都府南丹市日吉町にて生畑皿山窯として独立。2011年 第11回よりくらしの工芸展へ参加。