Now Loading...
photo by Takanori Yamamoto
鞍田 崇(哲学者)
photo by Takanori Yamamoto
“くらしの工芸展”は1986年の第1回から震災での中断を経ておおよそ隔年で続けてまいりました。本会は兵庫民芸協会所属の工人を中心に開催し第15回目を迎えます。“くらし”とは何かと申しますならば、それは美しく健康で親切さを兼ね備えた器物を日常用い、傲らず、人を傷つけることなく清く当たり前の生き方をすることです。柳宗悦師の生活の美の眼実は正にそこにあり、私達“くらしの工芸展”に参画する者全員その事を心しております。作り人達の願いは一に真に美しいモノ(健康な美を持つモノ)を人々の生活の中にお渡しすることにあります。
*織りの藤田昌子さんが今年5月に永眠されました。最後まで意欲的に制作されていたそうです。今回は遺作展とさせて頂き故人を偲びたいと思います。
[会期]
2019年12月5日(木)から10日(火)まで
[開場時間]
10時から20時まで(最終日18時時まで)
*会期中、各作家は会場におります。
[会場]
さんちかホール(さんちか3番街ホーム&ライフ内)
兵庫県神戸市中央区三宮町1丁目7 (→Google Map)
[アクセス]
JR「三ノ宮駅」西口・中央口、阪神電鉄「神戸三宮駅」西口、阪急電鉄「神戸三宮駅」東口、神戸市営地下鉄西神山手線「三宮駅」、神戸市営地下鉄海岸線「三宮・花時計前駅」、ポートライナー「三宮駅」より徒歩1、2分
[出展作家]
大杉康伸/小田桐真由美/加藤麻矢/児玉正和/小島 優/小島紗和子/郷美潮/阪上梨恵/坂西康俊/笹倉 徹/佐藤央巳・友美/辻本知之/中村紀子/西堀志伸/野間清仁/藤田昌子/藤原晶子/山口和声
[お問い合わせ]
くらしの工芸展実行委員(担当:山口和声)
メールアドレス:info@kurashinokougeiten.com
[主催]
くらしの工芸展実行委員会
[後援]
[日時]
2019年12月8日(日)15時から
[出演]
鞍田 崇、笹倉 徹(木工/兵庫県民芸協会会長)、前野直史(陶工/兵庫県民芸協会副会長)、阪上梨恵(染織(緞通)/兵庫県民芸協会理事)
[日時]
2019年12月8日(日)11時から
[出演]
笹倉 徹、仲野 文(兵庫県民芸協会員)、前野直史
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
1. 「茶釉土鍋」大杉康伸
2. 「ノッティングの椅子敷」郷 美潮
3. 「ブロック・スツール」児玉正和
4. 「螺鈿アクセサリー」小島紗和子
5. 「美作めんつ」野間清仁
6. 「どんぐり染め手織り着尺」中村紀子
7. 「珈琲ドリッパー、ピッチャー、マグカップ」佐藤央巳・友美
8. 「ホームスパンマフラー」藤田昌子
9. 「栃摺漆食卓椅子」笹倉 徹
10. 「赤穂緞通 花喰鳥椅子敷」阪上梨恵
11. 「糠釉鎬片口」坂西康俊
12. 「丹波布九寸名古屋帯地」藤原晶子
13. 「ぐい呑み」辻本知之
14. 「藍櫟染織飾布」加藤麻矢
15. 「呉須筆目塗ミルク飲み、角皿」西堀志伸
16. 「子供椅子」小島 優
17. 「ウール絞り染コート」小田桐真由美
18. 「灰釉押文六・五寸平皿」山口和声
photo by Takanori Yamamoto
大杉康伸(おおすぎ やすのぶ)
陶工/閑心窯(かんしんがま)
受注・展示会を中心に活動。1977年 兵庫県神戸市生まれ。岡山県備前陶芸センターを経て、1997年 備前焼・正宗悟氏に師事。1999年 伊賀土楽窯・福森雅武氏に師事。2006年 丹波市山南町に登り窯を築窯、閑心窯を開窯し、独立。2009年、2011年 茶の湯の造形展 入選。2017年 第14回よりくらしの工芸展に参加。
小田桐真由美(おだぎり まゆみ)
染色家/染色小田桐工房
染色した布での服制作。東京、大阪各地のギャラリー、デパートにて年6~7回季節の服展を開催。1949年 大阪生まれ東京育ち。女子美術大学にて工芸を専攻、柚木沙弥郎氏、四本貴資氏から教えを受け、卒業後個展、グループ展活動を続ける。1981年 染色小田桐工房として、手染めの服作りを始める。2017年 大阪箕面市の実家に工房と生活を移転
加藤麻矢(かとう まや)
半農半織家/兵庫県民芸協会理事
卓布、敷物などの制作、アンティーク敷物の修復1974年神奈川県生まれ。伝統工芸師に師事。倉敷本染手織研究所卒業、同卒業生に師事。日本民藝館展 入選。2017年第14回よりくらしの工芸展に参加。
児玉正和(こだま まさかず)
木工・乾漆/久付木乃工房(くつきのこうぼう)
主に素材感、素材の力を引き出すことを主体として創作・制作。1970年大阪生まれ。15歳から木工を志し、漆の魅力に興味を持ち現在に至る。日本民芸公募展 優秀賞他。2004年第6回くらしの工芸展に初参加、以後毎回参加。一脚展(竹中大工道具館)に第1回より参加。大阪南船場ギャラリー縄で個展を5回。奈良市アートサロン宮崎《選》展参加。2018篠山まちなみアートフェスティバル参加。
小島 優(こじま あつし)
椅子作家/兵庫県民芸協会理事
イギリスのカントリーチェア(ウィンザーチェアなど)のデザインを基本としたオリジナルチェアを制作。1973年 兵庫県生まれ。1991渡英。チェアメーカー・ビルハッドフィールド氏に師事。丹波篠山まちなみアートフェスティバルに参加。
小島紗和子(こじま さわこ)
木漆螺鈿 chogoro
1981年兵庫県生まれ。人間国宝の木漆工芸・黒田辰秋の下で修業した小島雄四郎から螺鈿の技術を習得。兵庫県丹波市に工房を構える。2008年から各地で個展、グループ展。2016年に国展初出品、入選。2017年入選
郷 美潮(ごう みしお)
染織
1988年生まれ。高知県生まれ埼玉県育ち。倉敷本染手織研究所卒業。その後沖縄にてノッティング、ウール製品を中心に制作するほか、小禄クンジーの再興にも携わる。2017年 那覇にて楽しい椅子敷展。
阪上梨恵(さかがみ りえ)
染織(緞通)/工房六月(こうぼうむつき)/兵庫県民芸協会理事
赤穂緞通の制作、及び昔の緞通の修復、再生を手がける。1983年神戸市出身。赤穂緞通生産者の会 根来節子氏に師事。赤穂緞通展(赤穂市文化会館 2018)いとおしい布を暮らしに(ギャラリー北野坂 2019)
坂西康俊 (さかにし やすとし)
陶工/やすとし窯
食器を中心に作陶1965年 兵庫県出身。丹波立杭焼清水俊彦氏に師事。尼崎の自宅裏に工房を作り「やすとし窯」として独立。師匠譲りの鎬技法を得意とし「毎日心地良く使える器」として食器を中心に作陶する。2019年 大阪ひふみ民藝店にて、西堀 志伸氏との二人展開催。
笹倉 徹(ささくら とおる)
木工(家具・工芸)/兵庫県民芸協会会長
重厚でぬくもりを感じる木工品を制作1947年兵庫県出身。1973年 長野県の松本民芸家具にて修業後、故郷の多可町にて独立。小島雄四郎氏と出会い漆を習う。俳人永田耕衣氏の書画展の額や瀬戸内寂聴氏の文机を制作。長年の愛好者が多く、重厚でぬくもりを感じる木工品を作り出す。2016年 第10回個展 in 聴竹居。
佐藤央巳・友美(さとう ひろみ・ともみ)
陶工/中ノ畑窯
沖縄で培った技術をもとに高槻市にて、薪窯を使って生き生きとした食器を生み出している。
(央巳)1973年北海道稚内市出身。北窯 松田米司工房勤務。
(友美)1974年大阪府高槻市出身。陶真窯、北窯宮城工房勤務。
辻本知之(つじもと ともゆき)
木地師/工房くくのち
轆轤を使った挽物による器制作や木地の受注生産。1978年 兵庫県西宮市出身。関西芸術短期大学、宝塚造形芸術大学で学んだ後、2002年 小林秀晴氏に師事。2009年 独立。2011年 西宮市に工房くくのち設立。2008年 第58回西宮市展 入選。第46回兵庫工芸展 兵庫県芸術文化協会賞受賞。2009年第47回兵庫工芸展入選。
中村 紀子(なかむら のりこ)
草木染/織
群馬で蚕を育て、座繰りされた糸を、植物、虫などで染め、着尺を織る。ショール、帯揚げなどの白生地を糸と同じく天然の材料で染めている。1948年 兵庫県神戸市出身。中野芙美子氏に染織の基礎を学び、武藤たか子氏に草木染、紬織を学ぶ。2009年、2010年 日本民藝館展入選。中部国展入選。奈良「あーとさろん宮崎」にて 隔年 グループ展。1999年よりくらしの工芸展 参加。
西堀志伸(にしぼり しのぶ)
陶工/露古壽窯/兵庫県民芸協会理事
日用食器を中心とした陶器の製造、販売。1971年 京都府生まれ。1996年 同志社大学工学部卒業後、家業である露古壽窯にて、父・西堀寛厚に師事。日本工芸館主催 日本民芸公募展 近畿経済産業局長賞(2010年)、他優秀賞など。2004年 第6回くらしの工芸展 初参加、以後毎回参加。大阪日本民芸館 みんげい市 初回より参加。2019年 大阪ひふみ民藝店にて、坂西康俊氏との二人展開催。
野間清仁(のま きよひと)
木工(家具・小物類・工芸)/創作家具工房 木道(きどう)
1960年 兵庫県出身。1981年 姫路の別注家具の木工所に入社。1994年 岡山県東粟倉村(現:美作市後山)に移住、「創作家具工房 木道(きどう)」を設立。2017年 日本民藝館展初出品入選。2018年 日本伝統工芸展初出品入選。
藤田昌子(ふじた まさこ)
染織(ホームスパン)
女子美術大学工芸科卒業。在学中に、柳悦孝氏、四本貴資氏、柚木沙弥郎氏から教えを受ける。1980年から、個展やグループ展。くらしの工芸展に初回より参加。2019年永眠。
藤原晶子(ふじわら あきこ)
丹波布染織 わたばな工房
加古川にて丹波布の製織と伝承。1941年 兵庫県揖保郡太子町にて出生。1998年 丹波布伝承館の講習会へ参加。 故足立康子氏に出会い、後に師事。2011年 加古川市民ギャラリーで初個展。2012年 「丹波布に魅せられたひと」を吉田ふみゑ氏により上梓。本の出版を記念して青垣と加古川松風ギャラリーで記念展。2014年 日本工芸館展 優秀賞 他。2015年 16年、18年、 日本民藝館展に出展、入賞。くらしの工芸展、みんげい市などに参加。
山口和声(やまぐち かずな)
陶工/Yamaguchi Pottery やまぽた
三重県伊勢市にて民藝に影響をうけ日用雑器を中心に作陶。1983年 三重県出身。2006年 名古屋芸術大学洋画科卒業。2010年 愛知県立窯業高等技術専門校にてやきものの基礎を学ぶ。2010年 鳥取県岩井窯にて山本教行氏に師事。2013年 伊勢市にて独立。2016年から国展入選、2018年に新人賞。2019年日本陶芸展入選。各地ギャラリーや百貨店等で個展やグループ展を開催。
鞍田 崇(くらた たかし)
哲学者
京都大学文学部哲学科卒業、同大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学・環境人文学。総合地球環境学研究所(地球研)を経て、2014年より明治大学理工学部准教授。1970年兵庫県生まれ。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイン・農業・民俗など様々なジャンルを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。著作に『BETWEEN THE LIGHT AND DARKNESS 光と闇のはざまに』(共著、Book B、2017年)、『フードスケープ 私たちは食べものでできている』(共著、アノニマ・スタジオ、2016年)、『知らない町の、家族に還る。』(共著、兵庫県丹波県民局、2016年)『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会、2015年)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。
前野直史(まえの なおふみ)
陶工/生畑皿山窯/Studio Tabula Rasa/兵庫県民芸協会副会長
スリップウェアなどの化粧陶器を中心に薪窯で焼成。個展、グループ展などで作品を発表。1965年 京都市出身。大谷大学文学部哲学科を卒業。1991年 丹波立杭焼の清水俊彦氏に師事。1996年 京都府南丹市日吉町にて生畑皿山窯として独立。2011年 第11回よりくらしの工芸展へ参加。
工芸の展覧会を楽しむには、時間への想像力が必要です。
もとより使うことを念頭に作られたものたちですから、見るだけではわかりません。自分ならどう使うか、それを思い描く想像力が求められるわけですが、じつは、それはまた、時間を思うことでもあるでしょう。
工芸品は、現在の姿が完成ではありません。まだまだ成長する伸びしろを秘めています。これから生活に寄り添い、使い込まれるうちに、手になじみ、色も穏やかになり、世界にひとつだけの存在へと育っていきます。そうやって未来を思い描いたら、こんどはぜひ過去にも思いをはせてください。これらの物たちは、こうして目の前に並べられるまでに、たくさんのテマヒマをかさねてきました。もともと多くの時間とともにあるのが工芸なのです。工芸の品を得ることは、時間を得ることにほかなりません。
気になった物があれば、ソッと手に取ってみてください。求められた時間は指先に、その感触の中にきっとひそんでいるハズ。それが始まりです。住まうことの学びなおしの。